位相差観察

位相差観察も、暗視野観察同様、透過観察で、試料を染色せずに、よく観察できるようにするための工夫です。
透過観察で、試料を通った光とそうでない部分を通った光では、位相が合いません。位相というのは、波の1サイクルを表した指標です。0なら最初、180度、半波長ならちょうど半分です。同じ波でも、スタートがずれると山谷がずれます。これを位相差によって表現するのです。
位相のずれは、光が試料の中に入ったとき屈折で生じます。屈折は、屈折率の違う物の境界で、ある角度で差し込んだ光が曲がる現象です。ジュースの入ったコップにさしたストローが見る向きによって、液面を境に曲がってみえるのも屈折です。
透過率の違いは明暗によって感じることができますが、位相差は人間の眼で感じることはでません。そこで、この位相のずれを光の干渉を利用して、明暗に変え、観察するのが、位相差観察法です。
具体的には、特殊な照明と対物レンズをセットで使います。照明にはスリット(リングスリット)があり、リング状に照明をおこないます。暗視野照明と似ていますが、暗視野照明では照明光が対物レンズぎりぎりを通すようにするのに対して、位相差観察では新たに追加するリング状の位相膜に照明が当たるようにします。
位相膜は、そこを通過する光の位相が4分の1波長だけ進む(または、遅らせる)光学部品です。したがって、サンプルのないところを進んだ照明光は、位相膜の部分を通過し、位相が4分の1波長進みます(または、遅れます)。
サンプルを通過した光は、、屈折によって、4分の1波長だけ遅れ、しかも方向がかわるので、位相膜を通過できません。
これら二つの光を干渉させると、位相膜通過の+1/4と、サンプル通過の-1/4で、1/2波長、半波長ずれ、山谷がお互いに打ちしあい、暗くみえます。サンプルがない背景では、干渉もおきないので、明るい視野となります。
位相差顕微鏡観察