音響光学素子

レーザーテック社は横方向の走査速度を動画レベルに引き上げる為、音響光学素子のAOD(Acousto-Optic Deflector, AOMとも呼ばれる)を用いた共焦点レーザー顕微鏡を開発しました。音響光学素子は結晶を圧電素子で振動させ、結晶の中に疎密の定常波を作り、これを回折格子として利用する素子です。このときできる格子幅は結晶にかける振動周波数で制御できるため、できた回折格子で曲げられる光の角度も制御できます。回折格子を作る為に結晶にかける振動の周波数は数十MHzから数百MHzで、それを数十kHz変調してやれば、高速のスキャンも可能です。
回折現象は2本以上の接近したスリットにレーザー光線などを当てると、隣のスリット同士から出る光が干渉し合い、一定の方向の光が強くなる現象です。スリットの間隔と回折の角度は波長とスリット間隔の関数で表されます。また、回折光は、入射光の強度が十分に強ければ、一次、二次と高次の(より大きな角度で回折された)光も観察できます。
音響光学素子の構造と回折
開発当時、音響光学素子は、おなじく開発が進む光ファイバー通信で主にスイッチとして脚光を浴びていましたした。2つのファイバー間に入れる事で、必要なときに光を曲げて、その先に光を通し、オンオフを行っています。
AODを使ったレーザー顕微鏡はディスクスキャンが発表されるまで、世界で唯一、動画録画できる共焦点レーザー顕微鏡でした。スイッチとして使う場合は、問題とならなかったAODですが、レーザー顕微鏡の光源として使用するには、均質性、物理的な大きさが課題となりました。また、ミラーと違い、デスキャン(走査を点にもどすこと)ができません。ミラー(鏡)なら点光源から出た入射光を走査させても、反射光は同じ経路をもどって、点にもどります。もちろん、光学部品を追加して、点に戻すことができますが、反射光の経路が通る光学部品の数が多くなれば、それだけ歪みが増えて行きます。